現地活動ルポ:ハイチ

2012.01.19

ハイチの復興 「Build Back Better!」(以前よりも良くする復興を!)

 2010年1月の大地震から2年が経過したハイチは、地震の前から中南米の中でも最も貧しく政治的に不安定だったことや、地震が首都を直撃したこともあって、全体としてはなかなか復興が進んでいません。でもその一方で、単に地震前の状態に戻すだけではなく、これを機会に道路や水道や法制度などの社会インフラ整備を行い、国としての開発や経済発展を促進しようという「Build Back Better (以前より良くする復興)」という呼びかけも聞かれます。

 ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、地震直後からテント配布などを行ってきましたが、現在は被災した学校が再開できるように校舎の修復やトイレの設置などを行っています。事業の内容は、建物だけでなく、生徒用の机つきベンチや黒板、学用品などの配布も含み、修理ができそうな家具がいくつあるか、生徒数に合わせると何がいくつ必要なのかなどを学校側と一緒に確認しながら、低学年用に高さを調節できる黒板や、通気性の良い天井など、小さな工夫を積み重ねています。今回の現地ルポでは学用品や文具の配布事業についてお伝えしたいと思います。

 学用品や文具とひとくちで言っても、学校に段ボールを配達しておしまい、というわけではありません。PWJの場合は、教師用、生徒用、さらには学年に合わせて6パターンの文具セットを作り、生徒数に合わせて仕分けする作業を行っていますが、実はこれがとても大変なのです。そこで、各校で、学校運営スタッフ、教員、生徒、親、地域の人をメンバーとしてたち上げてもらった「学校支援委員会」の皆さんにこの学用品配布作業にもしっかりと参加してもらいました。学年によって鉛筆の数やノートの種類を変えたり、安全面に配慮してコンパスセットは小学3年生以上にしてスクールバッグに詰めていくなど、予想以上に「細かい」作業です。学期末試験で忙しい中、学校支援委員会のメンバーが集まって仕分け作業をすると聞き、私もPWJスタッフとして参加することにしました。

 1つのスクールバッグに入れるアイテム数も多い上に、大きな学校では生徒数が600人を超えます。各種学用品やスクールバッグが所狭しと置かれている中、最初は一人が1セットずつ作っていましたが、次第に一人ひとりが移動するよりも、担当するアイテムを決め、ポジションを変えずに流れ作業で行ったほうが効率的だということになりました。私は定規、コンパスセット、ボールペンを担当し、左隣のお兄さん(学校支援委員会のメンバー)が差し出してくれるスクールバッグに入れていく作業に没頭。「あれ、このバッグに定規入ってる?」とか「これは小学2年生用だから、コンパスセットは要らないよ」などわいわい、がやがやと作業が行われ、気がつけば部屋の片隅には幼稚園児用、小学生用のスクールバッグの山々。「今日の作業はここまでにしましょう」と委員会メンバーの女性の提案でその日は終了となり、残りの作業は翌日に持ち越されることになりました。

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仕分け作業を行うPWJ栗本(写真左、一番左) (C)PWJ


 放課後や週末を使った仕分け作業が終了後、いよいよ各校で生徒への配布が始まります。6種類に分かれたスクールバッグが正しく対象学年に配布されるように、学校支援委員会のメンバーが協力し、校長先生が一人ひとり確認しながら手渡しでバッグを渡していきます。

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スクールバッグを受け取りサインをする子どもたち (C)PWJ


 学校によっては配布作業が一日では終わらず、試験週間の1週間を使い切ったり、冬休みの初日までかかったりなど様々でしたが、新しい文具が入ったスクールバッグを受け取った生徒の嬉しそうな様子に、私たちPWJスタッフや学校支援委員会のメンバーも本当に嬉しくなりました。

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写真左:スクールバッグを手渡すPWJスタッフ
写真右:文具セットのお絵かき帳を手にする子ども(C)PWJ

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受け取ったスクールバッグをすぐに確認する子どもたち (C)PWJ


 5月に就任した大統領は、将来的には国際社会からの支援に頼るのではなく、ハイチの経済発展・開発を進めていくことを目標としており、特に教育政策と雇用政策に積極的です。その一環として、この新年度から義務教育の無償化政策が施行されました。この政策により、生徒数が増加したため登録事務が遅れ、新学期の開始が例年より1ヶ月遅れの10月スタートとなり、PWJの支援事業にも影響が出ましたが、ハイチが地震復興から開発へと移行していくこの重要な時期に、必要な人びとに必要な支援を届けるため、ニーズを見極めながら事業を続けていきます。

報告:栗本 圭

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