ロゴ
イラクこれまでの最新情報 2004


来日し、空港でインタビューを受ける(8月27日)


病室で父と塗り絵を楽しむハウカー君


叔父(中央)、イラク人医師の励まされ、手術室に向かうマディーナちゃん(9月4日)

 

心臓病の子ども2人、来日し都内で治療
2004.09.08

ピースウィンズ ・ジャパン(PWJ)は、イラク医療支援を拡大・強化する一環として、先天性の心臓病に悩むイラクの子ども2人を日本に招き、東京都内の病院で治療を進めています。うち1人の手術が終了するなど治療は順調に進み、2人とも10月上旬ごろに帰国できる見通しです。PWJでは、2人の回復がきっかけになって、イラク内外で医療復興・医療技術向上への機運が高まることを強く期待しています。

PWJの招きで来日しているのは、イラク北部スレイマニア県在住のハウカー・ムハメッド・アブドゥルカディール君 (7歳)と、イラク北部ドホーク県内の国内避難民キャンプで生活している女子、マディーナ・マフムッド・アハメッドちゃん(11歳)。日本には2人のほか、ハウカー君の父、マディーナちゃんの叔父、それにそれぞれの地域を担当しているPWJのイラク人医師2人も同行しています。一行は8月23日にイラクを出国し、日本には27日に到着。30日から順天堂大学医学部付属順天堂医院での治療を受けています。

2人は、チアノーゼ(低酸素血症)などの症状が出る先天性の心臓病「ファロー四徴症」(別記注参照)の患者で、PWJが継続している巡回診療のなかでみつかりました。イラク国内では現在、心臓病の手術や、手術前に不可欠な心臓カテーテル検査を実施できる病院がほとんどないため、イラク国内において医療水準向上の気運を高めることも考慮し、2人を日本に移送し、根治手術を行う計画を策定しました。

2人のうち、マディーナちゃんは9月4日、心臓手術を実施。その後、順調な回復がみられています。ハウカー君の手術は近く、行われる予定です。

1996年の設立当初からイラクで医療支援を続けてきたPWJは、イラク戦争終結後、活動地域と支援内容を拡大。さらにイラク医療支援を拡大・強化するため、PWJは、イラク医療支援の実施を計画していた日本医師会に協力を要請しました。これに対し、日本医師会より、医療面でのイラク復興支援の取り組みに理解・賛同が得られ、支援を受けることとなり、今回の来日治療実施にもつながりました。

ファロー四徴症

ファロー四徴症は心室中隔欠損症、肺動脈狭窄、大動脈右室騎乗、右室肥大を四徴とする疾患。左右心室間で動脈血と静脈血が混合するためチアノーゼ(低酸素血症)などの症状が出ます。治療法は心臓手術しかないが、日本などではかなり一般的で、1−2歳時に手術を行って完治します。イラク国内では現在、手術はほとんど行えず、症状を抑えるために薬を処方することしかできない状況です。


タンクに注ぎ込まれるきれいな水=ティカロ村


ディーゼルポンプからの試験放水


給水車に水を積み込む


帰還民が暮らすテント

 

下痢、皮膚病の患者が多数 
帰還民の村で給水支援
2004.06.17

イラク北部の要衝、アルビルから南方へ車で約1時間。クルド人自治区と中央政府との境界線付近にあったデバガ地区は、他の境界線上の地域と同様、社会的・軍事的理由により生活環境整備が進められませんでした。イラク戦争終結後、村を追われていたクルド人たちが次々と帰還していますが、きれいな水がないために、下痢の子どもや皮膚病に悩む人たちが多くいました。ピースウィンズ ・ジャパン(PWJ)は5月から、地区内での給水事業や巡回診療などを開始。給水タンクも建設しました。

デバガ地区に対するPWJの取り組みは5月5日、地区内の8つの村を対象にした巡回診療から始まりました。担当しているイラク人医師(PWJスタッフ)は、「子ども、なかでも1−5歳児に、きれいな水の不足による下痢が多くみられる」「衛生面の不備による皮膚病が年代を問わずみられ、テント生活をしている家族には、疥癬(かいせん=かゆみの激しい伝染性皮膚病)の発症例もあった」と、その深刻な状況をレポートしています。

イラク戦争に先立つ2002年からPWJは、病気に対処するだけではなく、病気の原因となる社会生活環境の改善にも取り組む「ソシオ・メディック」のアプローチをイラクで実践してきました。デバガ地区の状況を受けPWJは、巡回診療を続ける一方、生活環境の改善にも取り組み始めました。

村内で水をくみ上げることができるティカロ村には、ディーゼル式のポンプを備えた給水タンクを建設。5月31日には試運転が成功し、近隣の村を含め4カ村で水が利用できるようになりました。水源に乏しい他の5つの村向けには、給水車を借り上げてアルビルから1日おきに給水に回ることを決定。5月25日からサービスを行い、1回あたり1500リットルの水を配っています。こうしたPWJの活動により、少なくとも200家族以上がきれいな水を得られることになります。

5月30日にはさらに、生活環境の悪い地区の7カ村、218家族を対象に、せっけんや洗剤、ポリタンクなど各種の生活物資を配給。少しでも生活の向上につながることを期待しています。

イラクの治安状況は良くありませんが、支援の必要性は引き続き高く、支援の手が届かなくなることでさらなる治安悪化が生じる危険もあります。PWJはスタッフの安全確保に十分に配慮をしながら、イラク人スタッフと国際スタッフ、東京事務局との連携を保ち、支援事業を継続していく方針です。

緊張感の漂うイラク国内の検問所
PWJはイラク支援を継続します
2004.04.10

ピースウィンズ ・ジャパン(PWJ)は、4月8日夜(日本時間)に明らかになった日本人人質事件について、捕らえられている3人の無事解放と事件解決を強く望みます。

PWJとしては、この事件の前からイラク国内での治安悪化が進んでいるとの認識を持ち、警戒を強めていました。しかし、その一方、国際社会からの支援の規模が小さくなって復興が遅れることは、さらなる治安悪化につながるとの考えから、PWJはイラクでの支援活動継続の方針を堅持してきました。人質事件発生後も、PWJはこのような認識のもと、スタッフの安全確保に慎重を期しながら、引き続きイラク国内での活動を続けていきます。

なお、4月10日現在、日本人スタッフ1名、イラク人現地スタッフ100人以上が、イラク国内で活動中です。スタッフ全員の安全が確認されています。

【悪化する治安】
イラクでは、現状に不満を持つ人たちや武装勢力などによるとみられる、駐留軍や外国人への攻撃が続き、国際機関やNGOは活動縮小を余儀なくされてきました。

バグダッドやモスル、キルクークで連日発生する攻撃の対象は、外国人にとどまらず、イラク人警察官や、国際機関・国際NGOで働くイラク人スタッフにまで拡大しています。最近では、各国の企業関係者や報道関係者も襲われています。

PWJとしては、フセイン政権崩壊1周年の日にあたる4月9日の前後に現地の緊張が高まるとの判断を持ち、とくに3月下旬以降は、激しさを増すアメリカ軍とシーア派・スンニ派との衝突によって、緊張がさらに高まっているとして強く警戒していました。

日本人や日本の団体が襲撃される可能性、NGO関係者が襲われる事態についても考慮し、1996年以来のイラクでの活動の経験を踏まえ、できる限りの情報収集に努めながら安全対策を考えてきました。

【PWJの対応】
PWJとしては従来から、治安がとくに悪化している地域に立ち入ることや、そうしたルートを通ることを手控えるほか、さらに治安が悪化した場合には、国際スタッフ(日本人など本部から派遣されているスタッフ)をイラク国内に滞在させない対応もとってきました。実際、2003年11月下旬から約3カ月間、国際スタッフはイラク内に滞在することを控え、現地スタッフに東京などから指示を出して支援を継続しました。

現地スタッフの安全確保にも国際スタッフと同様に深刻に取り組むほか、万一の事態に備えた脱出計画も準備しています。

PWJは、支援者の方々をはじめ、ジャパン・プラットフォームや他NGO、外務省・大使館、国際機関などと連携しながら、イラク支援活動を継続し、復興支援の強化を図っています。

 


国内避難民が暮らしているスタジアム内部

キルクークで巡回診療事業を開始
2004.03.23

豊富な原油埋蔵量を持ち、石油権益の帰属と地域の安定化がイラク復興のカギをにぎるイラク北部の大都市キルクーク。この地域の国内避難民の問題は人道援助団体をはじめとする関係者の間で大きな課題と認識されながら、治安などの複雑な事情のためにNGOなどによる援助があまり届かない状況に陥っていました。PWJは当地での支援を継続してきましたが、国内避難民の困難な生活ぶりを考慮し、3月10日から避難民を対象とした巡回診療事業を開始しました。

過去のイラク政府の政策、とくにフセイン政権による強圧的なクルド人政策のため、多くのクルド人が、キルクーク市やその周辺などの旧中央政府側地域からクルド人自治区へ、国内避難民となって移動・流入する状況が続いてきました。イラク戦争によってフセイン政権が崩壊した結果、旧中央政府側地域とクルド人自治区との行き来が可能になり、特に2003年11月以降、キルクークへ帰還する国内避難民が増えてきました。

しかし、クルド人がもともと住んでいた町に戻ったとしても、必ずしも元の生活に戻れるわけではありません。彼らが以前住んでいた住居には、イラク南部などからのアラブ人家族が住んでいるためです。フセイン政権下におけるアラブ化政策の影響です。したがって、多くのクルド人が故郷への帰還を果たしている一方、そうした帰還民は、テントや簡易住宅での不自由な生活を余儀なくされているのが現状です。

キルクークの治安情勢はかなり悪化しており、NGOなどが支援活動を届けることは容易ではありません。しかし、帰還民が困難な状況のなかで生活を続け、現状へのフラストレーションが高まれば、クルド人とアラブ人のみならず、同市に住むもう1つの民族であるトルコメン人を加えた民族衝突の火種にもなりかねません。また、石油権益などもからむ当地の情勢は、イラク全体の政情にも大きな影響を及ぼしかねません。

PWJは、スタッフの安全確保を最優先に考え、機動力は抑えながらも、現地関係当局や他人道援助機関等との度重なる調整の末、本支援事業の開始に至りました。キルクーク市東端にあるスタジアム内とその周辺には、現在、約500家族、の帰還民が生活しています。巡回医療サービスの対象者数は約3000人ですが、今後予想される帰還民の増加にも対応していく予定です。また、初期医療サービスの遅れによって、帰還民の健康に重大な問題が起こらないよう、きめの細かい支援を心がけていきます。

PWJは、巡回診療だけでなく、結核・胸部疾患病院の改修工事や医薬品・医療機材の提供、給水支援なども行い、クルド人帰還民に限らず、キルクーク市およびその近郊住民全体に対する復興支援を行っています。これら復興支援を通じて、イラク社会全体の安定化にも貢献していきます。



PWJによる給水タンク設置作業


国内避難民の女の子

 

10カ村への給水タンク設置完了
2004.03.23

PWJは1996年以来、イラクで支援活動を続け、基礎的な生活環境整備のため水道関係の支援にも力を入れています。イラク北部アルビル県マクムール地区の10カ村を対象に2003年末から進めてきた給水タンク設置事業が、このほど完了しました。

マクムール地区は、アルビル県南西部、クルド人自治区と旧中央政府側地域との軍事境界線上に位置しています。クルド人が多く住む地域であるため、クルド人を冷遇した旧フセイン政権時代から公共施設に対する十分な維持管理がなされてきませんでした。また、この地域は地下水も含めて水源に乏しく、水の供給も週に1回程度。チグリス川からの水をくんで供給する給水車が1台ありましたが、とても十分とはいえませんでした。

そこでPWJは2003年末より、マクムール地区カラチ行政区の10の村々に対して、給水タンクの設置を行ってきました。設置にあたっては、国内避難民の村への帰還など人の動きに合わせて、現地関係機関や他の人道援助機関と調整を行いました。3月はじめには、すべてのタンクの設置が完了し、計約2000人の人びとが水の不安を解消することができました。イラクで大きな課題となっている国内避難民の帰還問題も視野に入れた取り組みで、PWJとしては、住民たちにイラクの復興を実感してもらえる活動になれば、とも考えています。

PWJによる灯油の配布

冷え込む山間部で灯油配布継続
2004.03.23

イラク北部は冬期、山間部をはじめとして氷点下10度を下回る寒さになるほど冷え込みます。旧フセイン政権の弾圧による被害者、なかでも女性たちらは弱い立場にあり、厳冬のなか、暖房用の灯油を手に入れることも困難です。イラクで1996年以来、社会的弱者の支援に力を入れてきたPWJは、2003-2004年の冬も、イラク北部で越冬用の灯油を配布しました。

この冬、とくにPWJが懸念したのが、スレイマニア県ピラマグーン地域。この地域は冷え込みが厳しいうえ、旧フセイン政権が1988年に行ったクルド人掃討作戦(アンファル・キャンペーン)によって夫を連れ去られた女性や、障害者が数多く生活しています。

社会的に弱い立場にあり、支援を最も必要としている人たちへの支援をPWJは優先しています。2004年1月末から3月初めにかけて、ピラマグーン地区の326人に各200リットル、計6万5200リットルの灯油を配布しました。灯油を受け取った人たちには、安堵の表情が浮かんでいました。

 


積み上げられた医薬品


医薬品を積んだトラック


倉庫への搬入


医薬品の確認作業

3000万円分の薬と医療機材を提供
2004.02.02

ピースウィンズ ・ジャパン(PWJ)は、最近のイラクにおける治安悪化にともない、一時的に国際スタッフ(本部から派遣されているスタッフ)を国外に退避させていますが、1996年の団体設立当初から関わっている経験豊富なスタッフをはじめ、100人以上のローカルスタッフが現在もイラク支援活動を継続しています。

治安回復の遅れや公共サービスの停滞によって、イラクの住民の生命・健康に影響が出る事態を懸念し、PWJはこのほど、患者10万人分の医薬品と医療機材、計約3000万円相当を購入し、現地の行政当局に提供しました。

現地ではイラク戦争終結後、国連などによる人道支援は再開されましたが、医療・衛生などの公共サービスは滞りがちで、人々の生命や健康への影響が心配されています。また、度重なるテロ事件により、国連や他の国際NGOも一時撤退や活動縮小を余儀なくされ、事態のさらなる悪化が懸念されています。

こうした危機的状況に対応し、PWJは1月21日、モスル・ドホーク・アルビル各県の保健局へ、合わせて10万人の患者が2カ月間に使用するだけの医薬品・医療機材(約3000万円相当)の提供を開始しました。
提供しているのは、特に不足している慢性疾患(高血圧・糖尿病・喘息など)の薬や点滴器具、注射器具など医療用品、計20種類。地元の業者を通じてシリア・トルコ・イランなどから調達しました。

PWJでは、モスル・ドホーク・アルビルの3県に続き、スレマニア県とキルクーク県の保健局に対しても同様の医薬品・機材の提供を始める予定で、これらの医薬品・医療用品は、保健局を通じて各県内の病院・診療所に配布されます。

保健局によれば、3県内には、カルテに登録されているだけでも合わせて約10万人の慢性疾患患者がいます。医薬品が不足しているために患者たちはこれまで、公立病院で診察は受けられても、院外の民間の薬局で薬を購入するしかありませんでした。民間の薬局は値段が高いうえに、取り扱っている医薬品の種類も限られています。他の支援団体が撤退していることもあり、PWJによる医薬品の支援は、保健局や病院関係者から非常に高く評価されています。

なおPWJはまた、モスル・ドホーク・アルビル・キルクーク・ディヤラの各県で、病院・診療所や給水施設など、大小合わせて19の生活関連施設の改修工事・機材提供を計画。すでに10以上の施設で工事を開始しています。

 

イラクの最新情報へ

前頁に戻る
[広告] パソコンはマウスコンピューター 結婚ならノッツェ
  特定非営利活動法人  ピースウィンズ・ジャパン
〒151-0073 東京都渋谷区笹塚3-2-15 第二ベルプラザ
TEL: 03-5304-7490 FAX: 03-5304-7342