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イラクこれまでの最新情報 2005


日本から帰国した直後のマディーナちゃんとハウカー君


帰国して1年。少し大人びたマディーナちゃん


PWJ事務所の前で


2005年9月のハウカー君。大好きなPWJスタッフと。


2004年来日した心臓病の子ども2人の順調な回復ぶり
2005.12.01

ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、イラク医療支援を拡大・強化する一環として、先天性の心臓病に悩むイラクの子ども2人を昨年の8月下旬に日本に招きました。東京都内の病院で手術を受けた後、治療は順調に進み、同年の10月にイラクに戻った2人は、手術前と比べ見違えるほど元気に毎日を過ごしています。

昨年、PWJの招きで来日したのは、イラク北部スレイマニア県在住のハウカー・ムハメッド・アブドゥルカディール君 (現在8歳)と、イラク北部ドホーク県内の国内避難民キャンプで生活している女子、マディーナ・マフムッド・アハメッドちゃん(現在11歳)。2人は、チアノーゼ(低酸素血症)などの症状が出る先天性の心臓病「ファロー四徴症」の患者で、病気はPWJが継続している巡回診療のときに見つかりました。イラク国内では近年、心臓病の手術や、手術前に不可欠な心臓カテーテル検査を実施できる病院がほとんどなかったことから、イラク国内の医療水準向上の気運を高めることも考慮し、2人を日本に招き、根治手術を行う計画を策定。日本医師会からの支援も受けられることとなり、2人の日本における根治手術が実現しました。

昨年9月に手術を受けた2人がイラクへ戻ってはや1年。ハウカー君と、マディーナちゃんは帰国後も定期検診を受けており、その経過は順調です。ハウカー君は、手術前は登校するだけでも息がきれて疲れていましたが、今では元気にそこら中をかけっこして、友だちと楽しい学校生活を過ごしています。PWJのスタッフに会うたびに「日本での思い出がたくさんあるよ。楽しかったな。」と伝え、将来は英語を話せるようになって日本の人たちとコミュニケーションをとりたいと話します。また、マディーナちゃんも、すっかり回復。元気に友達と遊んでいます。食欲も旺盛になり少しふっくらしたようです。マディーナちゃんは、日本に行ったことがきっかけで英語をよく勉強するようになり、「将来の夢は学校の先生」とうれしそうにPWJスタッフに話してくれました。

ハウカー君とマディーナちゃんは2人とも日本が大好き。お父さんやお母さんにおこられるたびに「PWJのお兄ちゃんと一緒に日本に帰る!」と言うそうです。PWJは引き続きハウカー君とマディーナちゃんの回復を家庭訪問や定期検診などを通じてフォローアップしていくとともに、ほかにも同じように難病で悩む子供たちへの支援を継続していきます。

先生と一緒にクレヨンで遊ぶ


ピクニックにやってきた養護学校の子どもたち


こかげで丸くなってひと休み




アルビルの養護学校への支援開始
2005.09.09

ピース・ウィンズ ジャパン(PWJ)は、イラク北部の街アルビルにある市内で唯一の養護学校に対する支援を開始しました。夏休みの期間を通じて、在籍する50人の知的障害をもった児童と教員が参加する「サマーキャンプ」を実施したほか、教員を対象とした講座を開講。視聴覚教材やおもちゃなどを使った授業を行ったり、ピクニックを催したりして、子どもたちの感性を刺激する試みを始めています。

イラクでは、社会的弱者を支援する体制が整っていないこともあり、障害を持った児童に対する社会の理解が乏しく、障害のある子どものいる家族も大きな負担を抱えがちです。現地の社会福祉局も、事態の改善に取り組んでいますが、全体予算が少ない中で、なかなか充実したサポート体制を整えられないのが現状です。

サマーキャンプは、ブロックやクレヨンなどのおもちゃを使った授業を通して子どもたちの感性を刺激することだけでなく、教員たちに障害を持った子どもたちとの適切な接し方を知ってもらうことも、目的の一つです。現在働いている教員たちも、障害児教育についての専門的な勉強をしてきたわけではありません。そのため、困った子どもに対して適切な対応が取れず、叩いてしまったり、放置してしまうなどの対応になってしまうこともありました。そのためPWJでは、キャンプの実施と合わせ、障害児教育の専門家による教授方法などの講座を開き、必要な教育機材を学校に提供しました。

接し方次第で、子どもたちが意欲を持って勉強に参加できることを知った教員たちからは、「もっと学びたい」「日本ではどのように子どもたちと接しているのですか?」などの声が上がっています。

PWJでは、さらに、保護者に対しても、自宅におけるケアの方法を習得してもらうための講座を開き、子どもたちにとっての適切な教育法や、家族の精神的なストレスを軽減させることを図りました。

教員や家族など周囲の変化によって、子どもたちの様子にも少し変化が表れてきました。ライヤ(仮名)は、今年8歳になるかわいい女の子です。ダウン症のため、うまく話すことができず、すぐに泣いてしまったり怒ったりして、先生たちを困らせていました。PWJスタッフが最初に訪問したときも、見向きもせず、教室の中で一人座って泣いていました。しかし、サマーキャンプで彼女におもちゃを渡し、十分に遊べるようにしていくと、徐々に笑顔を見せるようになりました。今では自分から握手を求めるまでになり、その他の勉強にも徐々に興味を見せ始めています。

まだまだ支援は始まったばかりですが、子どもたちの成長を一緒に見守れるような社会に向けて、支援を続けていきたいと思います。

世界の子どもたちが明るい将来を描けるよう、PWJは活動を続けていきたいと思います。子ども支援をはじめとしたPWJの活動に、みなさまのご理解とご支援をお願いいたします。

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TBA研修の最終試験の様子


乳幼児の診療を実施。結果によって栄養摂取支援も行う。


配給された分娩用キットの一部

 

妊産婦保健充実へ無医村で支援
2005.04.24

イラク北部・旧クルド人自治区の農村部では、いまだに診療所のない村が多くあります。こうした地域では住民らの保健衛生に関する知識の不足から乳幼児死亡率が高いことが問題になっていたことから、ピースウィンズ ・ジャパン(PWJ)は母子保健衛生支援事業を実施。分娩用キットの配給も行いました。

ユニセフの調査によると1994年から1999年の間、旧クルド人自治区における平均乳児死亡率は新生児1000人あたり58.7人で、日本の戦後間もなくの乳児死亡率と同水準でした。また、初等教育を受けた母親の子どもと受けていない母親の子どもとを比較すると、初等教育を受けていない母親の子どもの死亡率が高いことも分かりました。こうした地域には地域の伝統的な方法や自分の長年の経験で赤ちゃんを取り上げている伝統的助産婦(Traditional Birth Attendant:TBA)がいますが、TBAはときに間違った保健衛生の知識を身につけていることがあり、それが安全な出産の妨げになることもあります。

このような状況をふまえ、PWJは2004年6月より、以前からソシオ・メディック事業を行ってきたドホーク県・アメディ地区バルワリバラにある、診療所のない7つの村を選び、母子保健衛生支援を始めました。支援の対象となったのは、新生児、乳幼児、妊婦、授乳期の母親と、TBAら計193人です。

PWJはイラクで行ってきた巡回医療のノウハウを生かして、医師、看護士、保健衛生インストラクターからなる巡回チームでこれらの村々を回りました。村には保健施設がなかったため、学校を使用。巡回は週3日行い、1日あたり2〜3カ村を周りました。現地の習慣にも配慮して、医師、看護師、インストラクターは女性に限定。乳幼児に対しては診療および必要に応じて高たんぱくビスケットの配給などの栄養摂取支援を、妊産婦に対しては診療と胎児・乳児の成長記録のつけ方や家族計画などの保健衛生教育を、TBAに対しては妊婦のケアの仕方や新生児介護などの研修をするとともに分娩用キット(脱脂綿や外科用手袋、はさみなど)の配給を行いました。

保健衛生教育は、家庭の中で日々実践できる内容を、字の読めない人にも分かりやすく伝えるよう工夫したため、妊産婦やTBAの高い関心を保つことができました。TBA研修にでは、それぞれが持つ経験と伝統的な知識を生かしながらも、医学的に間違っている点は修正していきました。事業は終了しましたが、終了後のPWJスタッフが行ったモニタリング(事業評価)によると、村全体の保健衛生への関心も高まったことが明らかになりました。また、現地ドホーク県の保健局からも高い評価を受けました。

保健・衛生環境の向上には、きれいな水へのアクセスや教育の充実など、複合的な地域開発が必要です。PWJはこの事業の後も、住民の健康を脅かす様々な要素に対応して、多角的なアプローチで支援を続けています。

PWJが提供した車椅子と障害者


協会内に開設されたクリニック

知的障害者ケアへ協会を支援
2005.04.19

イラク社会で十分なサポートを受けられない知的障害者のケアと社会参加をめざし、ピースウィンズ ・ジャパン(PWJ)はアルビル県にある「クルド知的障害者人権協会」への支援を開始しました。協会の建物内にクリニックを開設し、家族へのセミナーなども実施しています。

クルド自治区アルビル県は、社会基盤整備や社会福祉施設の整備が遅れている地域です。フセイン政権時代に行われた化学兵器による攻撃や病院施設の不足による出産時の障害、近親婚の影響により、障害者数は2000人を超え、そのうち約800人が18歳以下の子どもだといわれています。 イラクでの障害者ケアへの意識や認知度は低く、多くの患者が地域や行政からのサポートを受けられていません。患者の世話は家族に任されているため、家族の精神的・身体的負担も大きく、患者の世話のために外出することができず、親せきからも敬遠されるような事態になることもあります。

クルド知的障害者人権協会は、2003年1月に発足。ニネヴェ県の家族も含め2004年3月には1,000人以上の登録者がいましたが、具体的な活動は行われておらず、クルド自治政府から月々約400米ドルの支援を受けて、細々と組織を存続させている状況でした。

PWJは2004年8月、協会内の建物に小さなクリニックを設置し、専門医による診断やカウンセリングを開始しました。知的障害、ダウン症などを持つ障害者に対して、理学療法、作業療法、遊戯療法などを提供しています。また家族に対してもセミナーを実施し、治療方法や自宅における障害者との接し方、地域コミュニティとの関係のつくり方を指導。また、一人で歩くことのできない患者が外に出られるように車いすの提供も行いました。PWJでは今後も事業を続け、保健・社会事業局主導の精神障害者支援事業にもつなげていきます。

てんかんの子どもをもつ母親の話
「家族でテレビを見ているとき、突然子どものてんかんが始まり幸せな時間が終わりました。手足が動かないため一人で歩くことができなくなりました。他の家族のサポートは受けられず、私一人で世話をする日が長く続きました。PWJの支援により、車いすをもらい、治療を受けられるようになったおかげで、多くのことが変わりました。子どもの状態も治療を受け始めてから少しよくなったと思います。また、私自身も家族にサポートを呼びかける自信を取り戻しました」

 

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