
手話を学ぶ家族

補聴器をつけたアラズちゃん(左)とアワーズくん
PWJスタッフの岸谷、医師と一緒に
|
イラク支援の現場から
聴覚障害の子どもたちとその家族をサポート
2006.10.26
報告:岸谷美穂(PWJイラク事業現地代表)

「ババ(お父さん)」
「ぺ(足)」
これまで聞いたりしゃべったりできなかったアワーズちゃんが、お父さんの呼びかけに答えられるようになりました。
ピースウィンズ
・ジャパン(PWJ)イラク・ドホーク事務所では、ドホーク市内にあるろうあ学校でこの夏、聴覚に障害のある子どもたちの家族を対象した手話教室を実施しました。また、ろうあ学校に通っている聴覚・視覚障害を持った子どものうち、治療が可能であるにもかかわらず貧困のため治療を受けられなかった2人に補聴器を提供し、セラピーも行いました。
混乱するイラクでは障害者への公的支援の制度は整備されておらず、障害を持つ子どもたちにとってのサポートの多くの部分が家族にまかされています。しかし、家族も、障害を持った子どもにどのように接していいのか、わからないことも少なくありません。手話教室では、子どもたちと意思疎通を図るため、家族に手話を学ぶ機会を提供しました。
当初、受講したのは、障害児を持つ家族45人。4人の先生から食べ物の名前や色など基礎的な手話を学びました。家族から「いままでどんな色の服が着たいのか、何が食べたいのか分からなかったけど、手話ができるようになって子どものやりたいことをしてあげられるようになり、非常にうれしい」などの反響が寄せられ、受講者は回を追うごとに増加、最終的には約80人の家族が受講しました。教室は手話を学ぼうとする家族でいっぱいになり、先生たちは受講者たちから質問攻めにあっていました。
施設で学ぶ子どものうち、アラズちゃん(女児、9歳)とアワーズくん(男児、2歳)は、両耳ともに先天性の感音難聴(神経性難聴)のためまったく音が聞こえないものの、補聴器をつけ、ちゃんとしたセラピーを受ければ音感を取り戻せることがわかりました。2人の父親は半身不随のため経済的に苦しく、子どもたちをサポートすることができなかったため、PWJが2人に補聴器を提供しました。2人は補聴器のおかげで音感を取り戻した2人は現在、しゃべる訓練を受けています。
イラクの混乱は収まりませんが、時間は容赦なく過ぎていきます。日本の支援者の協力を得て、イラクの子どもたちの将来を少しでも助けることができました。 |