現地活動ルポ:レバノン2006

レバノン2006

2006.10.19(2006.11.07修正)

レバノン緊急支援の見送りを決定

イスラエルによるレバノン侵攻とその後の紛争による大きな被害を受け、ピースウィンズ ・ジャパン(PWJ)は、難民・国内避難民となった後に帰還した住民たちを対象に、緊急支援を実施することを想定して、現地調査や支援計画の作成を進めてきました。しかし、活動資金の問題などから、今回は緊急支援実施を断念することを決定しました。

9月14日から25日まで、日本人スタッフ3人を派遣して行った現地調査の結果、レバノン南部で、地域の主産業である牧畜農家の被害が深刻であることがわかりました。家屋に被害を受けたうえに、避難中に生活の唯一の基盤である家畜をなくした農家が多くいました。農業分野での支援を計画している団体・機関もほとんどありませんでした。

PWJでは、住民たちが危機的な状況を乗り切るため、ナバディア県の約300世帯、約2400人を対象に、牛380頭、ヤギ300頭、ニワトリ2000羽などを配布する緊急支援事業計画を作成し、レバノンでの支援事業を計画していたジャパン・プラットフォーム(JPF)に助成を申請しました。実施期間は約5カ月、活動のための事業費は、事務所の開設・維持費用などを含め、1億2000万円余りとしました。

10月17日、レバノン支援事業について協議するJPFの常任委員会が開かれましたが、PWJの申請案件は「(家畜の配布事業は)現行の政府支援金による支援対象となる経費項目で解釈できる範疇ではない」(JPF事務局)と判断され、助成の可否を審議する対象には含まれませんでした。委員会ではこの件に関連し、家畜配布は緊急時の事業にはなじまないのではないか、個人を対象に財産にもなるようなものを配布することは好ましくないのではないか、などの趣旨の意見が出されました。一方、現場のニーズにより広く対応できるよう、支援対象費目の拡大などを検討すべきだという意見も出ました。

PWJとしては、一般のみなさまからの寄付や、企業・団体による資金で支援を実施することも検討しました。しかし、十分な効果の期待できる緊急支援を実施するためには少なくとも数千万円の資金が必要であること、寄付を呼び掛けてからその規模の資金が集まるまでにはかなりの期間が必要となること、支援開始が遅れれば緊急支援としては意味がなくなってしまうこと、などの理由から、今回はレバノン緊急支援を見送ることを決定しました。

現地の状況は深刻ですが、限りのある資金と人材などを活用して、いかに有効な支援を実施できるかもまた重要です。PWJとしても今回の結論は非常に厳しいものですが、十分な成果の見込めない支援を実施することは寄付者や資金提供者の思いを無にすることにもなります。なお、PWJは引き続き、レバノンをはじめ、世界各地の人道危機について注意を払っていきます。

 

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