2005.04.25
結核病棟の子どもたちに補習授業
モンゴルでは貧困による生活環境や栄養状態の悪さが要因となり、結核に感染する人が多くいます。子どもが結核に感染すると学校を長期欠席しなければならないので、復学してからも授業についていくのは大変です。そのうえ再感染を恐れて病気が完治した後も子どもを学校へ送らない親たちもいます。こうした状況にある子どもたちを支援するため、ピース
ウィンズ・ジャパン(PWJ)は、ウランバートル市の国立感染症病院内にある、モンゴル唯一の結核小児病棟に入院している子どもたちのための補習授業を行っています。
結核は、結核菌を吸い込むことで起こる感染症で、「せき、たん、だるさ、微熱」など、風邪に似た症状で始まります。症状により、6カ月程度の長期入院が必要になることや、他人への感染を防ぐ為に隔離されることもありますが、発症するのは、感染者10人のうち1人程度です。かつては日本でも年間10万人以上が死亡する病気でしたが、薬で完治できるようになりました。しかし最近は高齢者など社会的弱者の感染が増え、結核による国内の死亡者が年間2,000人を超えています。
一方モンゴルでは、1991年から2002年の間に、人口10000人あたりの感染者数が7.4人から14.9人に倍増するなど、アジア太平洋地域の中でとくに感染率が高いといわれています。また、感染者のうち、0歳から16歳までの子どもが占める割合が21%にも上っています(モンゴル政府の統計から)。結核の感染と貧困とは、深い関係が指摘されており、感染する人々の大部分が失業や貧困に苦しんでいるという現状があります。
小児病棟に入院している子どもたちへの補習授業は、数学や国語(モンゴル語)、美術や保健衛生教育などの教科のほか、ライフスキルトレーニング(生活技能)と呼ばれる、社会へ出て役立つ技術の訓練も実施。女子には編物、男子にはコンピュータや電子回路のトレーニングを行っています。就学前の幼児を対象とした歌や折り紙の授業もあります。指導にあたるのは、PWJが雇用した教師経験のある人たち。子どもたちが殺風景な病室にこもりきりにならないよう、病棟の一室をトレーニング室に改装して、明るい飾り付けやポスターを貼って親しみやすいようにしています。
PWJでは、子どもたちへの授業と合わせて、親へのセミナーも開催。結核についての正しい知識、学校教育の大切さ、教師と相談することの必要性、そしてPWJの補習授業の内容と目的について説明しました。仕事をもつ親たちのために、セミナーは夕方実施。さらに、子どもたちの家庭をソーシャルワーカーが訪問調査し、貧困家庭の子どもには衣服などを支給しました。
これまでに、幼児・小学生・中学生あわせてのべ約200人の子どもたちが補習授業を受講。親を対象としたセミナーでは、事業当初の参加者は7人でしたが現在では月20人まで増えました。この事業に対する関係機関やモンゴル政府の評価も高く、「大人用の病棟でも同様の支援を始めてほしい」などといった声も聞かれています。
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