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キャンペーン案内・報告




支援物資をトラックに詰め込むPWJスタッフ


1月1日 支援物資を受け取ったムラボーの住民


スマトラ島沖地震・津波被災者緊急支援 事業報告

【支援の背景】
ピースウィンズ ・ジャパン(PWJ)は、1996年の設立以来、紛争地や地震などによる災害被災地で緊急支援を行ってきました。支援を行うにあたっては、どの支援地においてもさまざまな困難や障害に直面しますが、今回の津波は未曾有の被害をもたらし、被災地での支援はPWJにとって新たなチャレンジでした。

支援を困難にした理由として、まず、被害が想像を絶する規模のものであったことがあげられます。スマトラ島西岸は壊滅的な状況で、たとえば、西岸の都市ムラボーのように人口の三分の二から四分の三を失った町村は数知れません。また、被災者が家族・親戚の家、避難施設、小規模な避難民キャンプ、建設途上の仮設住宅などに分散していたことも支援を難しくしました。最初はキャンプで生活をしていたものの、生活上の不便さから親戚の家に身を寄せ、しばらくすると再びキャンプに戻るというように、被災者が頻繁に移動する場合も多くありました。さらに、アチェ州の行政府自体が壊滅的な打撃を受けた中、現地政府による復興ガイドラインが策定されるまで、想定以上の時間を要したことも支援を行う上での大きな障害となりました。

そのような中、PWJは被災者のニーズをできる限り調査しつつ、現地政府や国連機関、他のNGOとの連携により、最大限の緊急支援および生活再建支援を行うことを目指しました。

【スマトラ島沖地震・津波によるインドネシア被害総数】
スマトラ島沖地震・津波の被害
2004年12月26日発生

出典:ジャカルタポスト(2005/6/27)
死者・行方不明者 約168,000人
避難者 約500,000人


ニアス島沖地震の被害
2005月3月29日 日本時間発生
出典:Relief Web

死者626人
行方不明者 約168,000人
避難者 約34,000人

【緊急支援事業】

1.物資配給
PWJは、アチェ州での支援決定後、同州に接する北スマトラ州メダンに拠点を置き、物資調達とともに、情報収集を開始し、陸路・海路・空路とも交通が途絶し、陸の孤島と化して支援の遅れが懸念されていた西岸ムラボーでの支援を決定しました。
緊急支援を支える重要な部門、ロジスティックス(物資調達部門)は、今回これまでにない多くの障害に直面しました。緊急支援物資の調達だけでなく、調達後の輸送にも大きな課題があったためです。アクセスが閉ざされている中、あらゆる手段を使って陸の孤島と化した被災地に一刻も早く支援物資を届けることを苦慮。1月1日、二派に分かれたスタッフが、一方はヘリコプターで直接ムラボーに、他方は小型チャーター機で少し離れたブランピディの空港に飛び、そこから陸路でムラボーに到達し、医薬品やビスケット、パック入りのジュースなど火を使わない食糧を被災者に提供することができました。PWJはこのとき、ムラボーに到達した最初の国際援助団体でした。
その後、1月末までに、就寝用マットレスや下着など70トンを超える緊急支援物資をムラボー近郊およびアチェ州の州都バンダアチェの被災者に配布しました。

 
  ムラボー周辺 バンダアチェ市
配布先 被災した村や避難民キャンプなど82カ所 被災した村や避難民キャンプなど20カ所
受益者数 約5万人 約1万人
主な配布物資 蚊帳、就寝用マットレス、下着(男性用・女性用)、石鹸、サンダル、サロン(腰巻)、調理用ストーブなど。 同左

瓦礫の除去作業を行う住民
2.瓦礫(がれき)の除去
アチェ州の海岸沿いの地域は、津波で流された泥や瓦礫が道路や家の中にとどまり、人びとの帰還を妨げていました。そこで、被災者たちが以前暮らしていた地域に戻って生活を始められるよう、スコップやシャベルなどの用具を住民たちに提供し、被災者自身による瓦礫撤去のサポートを開始しました。被災者の多くは家族や家を失うだけでなく、職も失っていました。一日の作業に対して支払われる日当3万ルピア(日本円で約350円)は、貴重な収入源として、生活に必要な品を購入するのに役立っただけでなく、将来に目を向けるきっかけにもなりました。
 
配布先 ムラボー周辺 バンダアチェ市
地域 周辺3郡の道路や家屋など13ヶ所 市内の村、家の中、道路・排水溝。村内で現存する家の約8割に当たる184戸の清掃が終了。
参加者数 延べ13,342人(2月中旬〜3月末) 延べ4,050人(1月中旬〜3月中旬)

水の煮沸消毒について指導するPWJスタッフ(中央)


バニャック島に緊急支援物資を届けるPWJの船


制服を受け取り、セレモニーでお礼を述べる子どもたち

3.衛生・水
1月下旬より、ムラボーの避難民キャンプや被災した村22ヶ所において井戸水の水質検査を実施しました。飲み水などとして使われる井戸水などの水質検査を行い、水を煮沸消毒することの大切さを伝えるとともに、やかんや調理用ストーブの配給などを実施しました。具体的には、キャンプで生活する被災者が飲んでいる水をPWJの事務所に持ち帰り、水質検査キットを使って、安全性を確認。水から食中毒や下痢の原因となる大腸菌などが検出された場合、担当スタッフが再度キャンプを訪問し、そのままでは飲用に適さないことを被災者に注意しました。同時に水を煮沸消毒することの重要性や、沸かしたお湯は清潔な容器で保管すること、台所作業をする際には必ず手を洗うことなど、基本的な公衆衛生の知識の講習も行いました。

4.バニャック島緊急支援
3月28日、スマトラ島沖のインド洋に位置するニアス島をマグニチュード8.7の地震が襲いました。ニアス島の北に点在する99の小島からなるバニャック諸島は、震源地に近いにも関わらず、援助機関からの支援が届いていないことが判明。4月初旬、PWJは調達した支援物資(飲料水、米、ビニールシート、インスタントヌードルなど)計40トンを3回に分けて配布しました。


【生活再建支援】
1.女性支援 収入向上プログラム(バンダアチェ)
女性たちは、生活を再建するために自分たちも働きたいと願う一方、伝統的なイスラム教の社会の中では、女性が外で働くことはほとんど見受けられませんでした。PWJは、被災した女性たちが生活を再建するための収入向上プログラムとして、3月中旬より、バンダアチェ市内の女性10人に制服の製作を依頼。PWJは完成した制服を買い取り、4月末までに102人分(シャツ408枚、男児用ズボン116着、女児用スカート88着)を市内の小学校を通して子どもたちに支給しました。女性の収入向上の一助となっただけでなく、津波で家族や家を失い、また制服がないために学校に行く機会を失っていた子どもたちの通学を励ますことにもつながりました。

2.農業 (ムラボー周辺)
アチェ州西海岸沿い地域の被災住民の95%は農民で、農業の再開を希望しています。PWJは、1,400世帯 約7,000人に対して資機材および種子・肥料・農薬の配給を行いました。また、農業研修センターを設立し、青年160名に対し、野菜栽培、養鶏、牧畜(山羊)の基礎的な研修を行いました。

3.衛生・水アチェ州西部海岸沿い(ムラボー周辺)
これまでに、被災した村の診療所など5ヶ所に浄水装置を設置する工事を行っています。浄水装置の設置後、住民に維持管理や衛生に関する研修を実施し、安全な水を継続して確保できる体制作りを行っています。

【今後の支援】
1.女性支援(ムラボー周辺・バンダアチェ)
PWJでは今後も、現地NGOと連携しながら、ムラボー、バンダアチェの両地域にて、女性の収入向上プログラムを継続していく予定です。このプログラムには、工芸品制作やケーキ作りなどの技術指導を通じ、収入向上を図るとともに、心理的なケアを行う意図もあります。計800名の被災女性を小グループに編成し、心理学の専門家がファシリテーターとして心のケアを行いながら指導しています。今後は心理的ケアを組み込んだアプローチをとりながら、裁縫や野菜栽培などの技術指導や、小規模融資を行い、小規模ビジネスを支援していきます。

2.農業研修センター(ムラボー周辺)
ムラボー近郊ウォイラ郡では、地域の若い人びと計160名を対象とする農業研修を実施しています。アチェ州は独立をめぐる紛争が長く続いてきましたが、地域の青年(特に男性)は、職があれば紛争へと巻き込まれる可能性も少なくなります。そのような紛争予防の観点からも農業研修センターでの技術指導により、技術を身に付けていくことは大変重要なこととPWJは考えます。

3.幼稚園建設(バンダアチェ近郊 ランバロスケップ村)
バンダアチェ近郊ランバロスケップ村には津波の被害にあう以前から幼稚園は一つしかありませんでした。その唯一の幼稚園も津波による大被害を受け、いまやかろうじて建物の一部が残るのみという状態です。津波を経験した子どもたちが少しずつ元気を取り戻して友達と遊ぶことができるよう、7月中旬より幼稚園の再建をスタートする予定です。

収入
収入項目
実績
今後の収入予定
合計
スマトラ島沖地震・
津波緊急支援      
特定寄付 (日本)
\48,875,814
\4,000,000
\52,875,814
スマトラ島沖地震・
津波緊急支援      
特定寄付 (インドネシア※1)
\3,051,438
\0
\3,051,438
助成金(※2)
\144,538,149
\964,589
\145,502,738
合計
\196,465,401
\4,964,589
\201,429,990
支出
  収入項目
実績
今後の支出予定
合計
緊急支援 緊急物資配給
\96,360,976
\950,000

\97,310,976
瓦礫除去
\8,035,503
\0
\8,035,503
バニャック島支援
\2,121,951
\0

\2,121,951

生活再建
支援

女性支援
\1,963,885
\6,343,536
\8,307,421
衛生・水支援
\5,831,417
\964,589
\6,796,006
農業支援
\22,082,054
\47,288,115
\69,370,169
幼稚園再建・家具什器
\0
\4,000,000
\4,000,000
広報
広告宣伝・報告費
\189,214
\150,000
\339,214
管理
東京本部経費(※3)
\0
\5,148,750
\5,148,750
  総計
\136,585,000
\64,844,990
\201,429,990
 

※1 今回、初の試みとしてPWJは支援地における支援への呼びかけを行いました。その結果、ジャカルタ在中の方がたより多くのご支援を賜りました。 ※2 ジャパンプラットフォーム(JPF),国連児童基金(ユニセフ)による助成金  ※3 東京本部にて、スマトラ島沖地震・津波被災者緊急支援のために派生した経費に充当します。(2004年12月27日〜2005年末)  

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