ナイル川が国土を南北に貫き、アフリカ大陸最大の国土を持つスーダン。20年間の内戦がようやく終結したスーダンの南部に、戦乱を逃れて避難していた難民たちが続々と帰還している。南部の主要な町の一つ、ボーの人口は、みるみるふくれあがった。水道はおろか、井戸さえ市内に4基しかなかったボー。“母なるナイル”に頼ろうにも、それすらできない人びとが、ここには多数いる。
報告:ピースウィンズ ・ジャパン(PWJ)スーダン駐在 原田靖子、小南のり子
4つしかない井戸は長蛇の列
ボー市内の井戸。毎日、水を求める人たちの長い行列ができ、住民たちは何時間も順番を待つ。そしてその列は日増しに長くなっていった。
母なるナイル−。ロマンチックな響きと裏腹に、川の水は、水浴びや洗濯にも使われ、決してきれいとはいえない。さらに、川に生息するワニが追い討ちをかけた。ある週には、少年、少女、女性の3人が立て続けに犠牲となった。いずれも、水くみや水浴びの最中に襲われた。水くみは主に女性や子どもの仕事だ。内戦中、この川には、戦闘に巻き込まれた人びとの亡骸が連日、投げ込まれたという。真偽のほどはわからないが、地元の人びとは「ワニが人の味を覚えてしまった」と噂した。
井戸での順番待ちに耐えられず、川に行くこともできない人びとは、沼地や湿地で、水をすくい、それをそのまま飲む。当然、さまざまな感染症がまん延し始めた。
ようやく戦乱が去ったこの地の人に、せめてきれいで安心できる水を。私たちはここで、井戸の建設を進めている。

スーダンを貫いて流れるナイル川
(C)Peace Winds Japan
雨期明けと道路開通で帰還開始
2006年9月、南スーダンの中心都市ジュバと、ジョングレイ州の中心地ボーとを結ぶ道路の改修が終わり、車の通行が可能になりました。地雷の除去も徐々に進み、雨期の終了もあって、この道路を通って難民・避難民が帰還し始めました。町の中で女性や子どもの姿が見られるようにもなってきました。
しかし、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、2006年5月までに、南スーダンには帰還した難民は7万7000人(推計含む)。ボー地域への帰還民の数は、国内避難民を含め、約3万人(南スーダン救援復興委員会=SSRRC)にすぎません。井戸などの給水施設や道路、学校の復旧が遅れているため、帰還は当初、順調には進みませんでした。

生徒たちであふれる学校。屋根はビニールシートだ
(C)Peace Winds Japan











